20週6日 突然の前期破水 当日のこと その3「待機療法の選択」

2017年3月7日、20週6日で前期破水し、緊急入院した日のこと、続きです。

待機療法への不安

12:00 実家の母に電話で状況を報告する。母は、第一子を授かるまでの不妊治療のことも知っていたので、今回の妊娠をとても、とても喜んでくれていた。そんな母と父を悲しませてしまったことも悲しい。

父と母は、10日前に東京に遊びに来てくれていて、久しぶりに会ったばかりだった。妊娠発覚後に会ったのは、その時が最初で、最後になってしまった。

私の里帰り出産を楽しみにしてくれていた。「ベビーベッドをレンタルしようか」「チャイルドシートはどうしよう」と笑顔で話していた。10日後に、まさかこんな報告をしなければならないなんて思ってもみなかったよ。

13:00 母から「今からそっちに向かいます」とLINEがきた。

「残念だけれど、仕方のないことなのね…。」と電話を切った1時間後のことだった。

「今日この後で突然状況が変わることがなさそうだったし、いま来てもらっても、何もしてもらえることがないと思う」「入院が長丁場になる可能性もあって、そうなった時に、みりんちゃんの送迎や食事のお世話をお願いしたいから、今日は来なくても大丈夫だよ」と返信をしたら、「もう新幹線に乗っちゃった。今日は顔を見たら帰るだけのつもり。父もとても心配していて、様子を見てきてほしいと言っているから」って。

その気持ちが嬉しくて、また涙が止まらなかった。

子供を心配して想う母の気持ちは、子供がいくつになっても変わらないんだなぁ。

この日、母は往復6時間かけて会いに来てくれて、1時間だけ顔を見て、翌日も仕事だからと帰っていった。

15:30 母と旦那さんが部屋に来てくれる。

奇跡的に授かることができた赤ちゃんが助からない。

この事実は、この上なく悲しいけれど、「もう時間は戻らない、どうしようもなかった」「仕方がなかった」「そういう運命だった」と思うしかないのかもしれないなぁ、と考えるようになってきた。

一方で、今後の生活の見通しが経たないことについての不安は大きくなる。

待機療法の期間は読めないという。

おそらく、数日から1週間で分娩が始まると言われたが、2週間、それ以上に長引く可能性だってある。

仕事をしながら保育園の送迎と家事をしなければならない夫の負担。

夫は、育児に関して「できないこと」は何もない。娘も夫のことが大好き。

でも、突然、ママが居なくなり、保育園へのお迎えの時間が遅くなれば、娘にも当然ながら負担がかかるだろう。自我がでてきて、イヤイヤ期も始まりだしている。

夫と娘と私、今いる家族の生活を考えたら、「人工中絶」の選択肢もあるのではないか、という話をした。

日本の法律では、22週未満であれば人口中絶が選択できるという。今朝からたくさん読んだブログや体験談の中には、中絶を選択したという人も多かった。

ナースコールをして、先生に中絶の話を聞いてみたいと相談した。

しばらくすると、先生が部屋に来てくれた。

第一声が「中絶したいんだって?」だったのには驚いたが…。

いや、まだ相談したいと言っただけなんですけどね。

・人口中絶と待機療法のメリットとデメリットを教えてほしい。

・この2つ以外にも選択肢があれば教えてほしい。

この2点を依頼した。

まず、人工中絶のメリットとデメリット(A先生の見解)

前提条件

・22週を過ぎると人口中絶ができなくなるので、人口中絶をするのであれば、決断のタイムリミットはあと1週間。

メリット

・人工中絶をするなら即日処置に入ることができる。経過が順調であれば数日内に退院が可能。

デメリット

・破水しているので間もなく感染症になるでしょう。感染症になると、感染症を悪化させるリスクがあるので、通常の中絶時に使うラミナリアという子宮口を広げる処置ができない。ラミナリアが使えないと、機械で無理やり子宮口を広げる処置をすることになる。この処置は、子宮破裂や子宮に傷をつけるリスクが高い。子宮破裂をすれば母体が助からない可能性もある。当然、今後の妊娠も望めない。(※)

・費用が全額保険適用外になるので高くなる。(※)

(※この説明は、私の母と夫も同席のもとで聞いていますが、翌日、覆されることになります。)

そして、待機療法のメリットとデメリット(A先生の見解)

メリット

・通常のお産と同じように陣痛が来て、自然分娩できるので母体が傷つくリスクは中絶より低い。(※)

・保険適用になるので費用も中絶より安くなる。(※)

デメリット

・いつ陣痛がくるかわからない。万が一、陣痛がなかなか来なければ入院が長引き、入院費用がかさむ。

(※この説明は、私の母と夫も同席のもとで聞いていますが、翌日、覆されることになります。)

中絶か待機療法か。私たち夫婦の決断

「中絶と待機療法の2つ以外に取り得る選択肢はない」とのことも聞きました。

待機療法だと赤ちゃんが助かる可能性がわずかでもある点もメリットなのかなと思ったのですが、赤ちゃんの生存可能性についての話は一切でてきませんでした。おそらく、それだけ状況は絶望的なのでしょう。

A先生が話してくれたのは主に医学的な面ですが、私たち夫婦が感じたデメリットとして、

人口中絶の場合:自分たちで赤ちゃんの命を諦める決断をしなければならない。0.00…1%かもしれないがある望みを捨てないといけない。

待機療法の場合:病室のベッドで天井を眺めて何日も過ごすこと、その先に待っているのは悲しい結末であることが精神的に耐えられないのではないか。

といった点もあります。

メリットとデメリットの話を聞いて、「先生のお勧めはやはり待機療法ですか?」と質問したら、「母体のリスクを考えると人口中絶より待機療法を勧める」とはっきりと言われました。

私たち夫婦は、”母体リスクを最優先”で待機療法を選択することにしました。

眠れない夜

16:30 通常の病室が空いたとの連絡があり、朝から過ごした処置室のベッドから3人部屋へ移動した。

同室の2人は帝王切開を終えた直後の経産婦さん。

お見舞いに来た家族の喜びの声、赤ちゃんが泣いている動画の音声が聞こえてくる。

深夜になると、新生児の泣き声も響いてきた。

ここは、産婦人科なので当然ながら出産前後で入院している人ばかり。

そんな幸せいっぱいな雰囲気もジワジワと辛かった。

カーテン1枚隔てた隣のママさんも、無事に出産を終えて幸せいっぱいな時に隣のブースから聞こえてくる流産の話なんて聞きたくないだろうな、とも思うけれど。

希望すれば、個室を使うこともできたけれど、1泊12000円の個室料金がかかるという。

この先、何日入院するかわからないので、まずは大部屋で過ごすことにした。

夜になってもなかなか眠れなかった。

会社の上司に状況と緊急休暇のお願いをメールする。すぐに「仕事のことは心配しなくていい、自分の体と家族を優先してください」と返信がきた。

明け方、まだ胎動を感じた。なんだか徐々に弱くなっている気がする。

子宮収縮の兆候はなし。破水も続いている。お腹はすっかり産後の時みたいにぺったんこ。

これからくる陣痛は出産のときと同じように長時間に渡ることもあるのか、出産のときと同じように意識が遠のくほどの痛みなのか、不安は尽きない。

感染症によって、子宮が傷ついたり、何かしらの後遺症が残り、不妊の原因になることもあるらしい。

原因不明で、兆候はなく、対策も何もなかったのだから、「仕方がなかったこと」と思い込もうとしたり。

今更、”だったたら”、”していれば” と考えても仕方がないけれど、それでも何か原因があるのではないか…と考えてしまったり。

ぐるぐる、ぐるぐると同じようなことばかり考える。その繰り返し。

「不妊治療がうまくいかなかった時の方がもっと辛かったじゃないか。」

「子供がいない人生も覚悟していたのに、一人授かり、無事に産むことができた。あの時は、奇跡だ、もうこれ以上の幸せはない、これ以上を望むことはないだろうと思ったじゃないか。」

「万が一、この子の命が助かったとしても、重い障害を抱えて生まれてきた子を育てていく覚悟はある?」

「週数が更に進めば、もっと辛かったに違いない。」

と、自分を納得させる理由を探してしまう。

「破水の原因は不明、兆候もなかった」と言われているので、「ああすればよかった」「これをしなければよかった」という具体的な後悔はない。はずなんだけれど…。

1人目の時は生まれてくるまで毎日不安で、旦那さんと2人で毎日お腹に手を当てて、話しかけて、「いま何週だから〇〇が発達している時期なんだって」「そろそろ耳も聞こえているかな?」と成長を想像して、出産日を指折り数えて過ごしていたけれど、今回は2人目ということもあって、安心しすぎだったのかな。想いを馳せる時間が少なすぎたのかな。

そう考えると、申し訳ない気持ちになる。

守ってあげられなかったのは事実だしね。

大きなお腹が懐かしいなぁ。

昨日の夜まで普通の妊婦さんだったんだよなぁ。

もし昨日の夜に戻ることができたら、避けられたのかな?

いや、たとえ昨日の夜に戻れても、羊膜が弱っていたのだろうから、いずれにせよ同じ結果を繰り返すだけなのかな。

ぐるぐるぐるぐる。思考回路を行ったり来たり。

浅い眠りについては、目覚めて考える。

長い、長い1日が終わっていく。

まだまだ、この先も長いと思うと弱音は吐いていられません。

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